クリエイター紹介

2017.10.30 UP

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クリエイターインタビューvol.2【来島康博さん】

周南市のクリエイターへのインタビュー連載第2回目は、「キジマデザインルーム」代表の来島康博さん。多分野に渡るデザイン「徳山フグ」などの非常に精密な絵をフリーハンドで描いている来島さんは、まだ世に「デザイン」という言葉が浸透するまえからデザイナーとして活動されてきたとのこと。長い間、周南市でデザインに関わってきた方の目から見える周南市の昔・今・未来の姿と思いをお聞きしました。

ーーデザインの仕事をされようと思ったきっかけを教えてください。

子供の頃はデザインがすべて手作業の時代で、映画館の看板も外で描いていました。それを小学校の帰りに見るのが好きでした。エリザベス・テイラーの絵を見たときに「これは!」と感動して、それから絵を描くのが好きになりましたね。小学校のときから、描いた絵はなにかしら必ず賞をとっていました。

高校を出たあとは、テレビのテロップを書く仕事をし始めました。当時はテレビのテロップなんかも全部手書きでした。それから東京の代理店で働いている友人から「一緒に働こう」と連絡がきて、上京する寸前だったのが、ひょんなことから周南市に留まることになりました。それからもう50年以上、周南市でデザインの仕事をしています。

ーー今までどんなデザインの仕事をされてきましたか?

まずそもそも、当時はデザインの分野が細かく分かれていなくて、インテリアデザインなんかも大工さんがやってた時代だったので、色んな仕事をやってきましたね。
「美弥テクノパーク」(現「美弥刑務所」)のシンボルは国が初めて個人に委託した事業だったので、非常に大きい仕事でした。芸術として作品を実現してほしいという要望で、予算もそこまで大きくはなかったんですが、任せてもらったということで本気でやり遂げました。
そしたら、思わぬところで「美弥テクノパーク」の作品制作の話題を友人としていたのを当時の総裁が聞いたらしく、「そんな少ない予算で引き受けてくれたとは知らなかった。大変申し訳無い。追加の予算を出すことはできないが、別の形でお返しさせて欲しい。」「これからの時代はグリーンヒルズ・環境のことを学ばれたほうがいい」と言って、ヨーロッパの視察に連れて行ってくれたことがありました。あのときは本当にありがたかったですね。

その他にも、「くだまつ健康パーク」では建物内の配管のメンテナンスを便利にするために、当時非常識だった「風呂設備を1階ではなく3階に配置する」アイデアをコンペに出して実現したり、寄贈作品としてステンレスに初めて漆を塗った作品(ステンレス漆絵寄贈作品)をつくったりと、常識や慣習にこだわらず新しいことにチャレンジしてきました。

ーーデザイナーの仕事についてどう考えていますか?

やりがいがある仕事だと思いますが、同時に悲しい面もあります。自分が「これはいける!」と自信を持ったデザインがコンペなんかで落ちたりしたら、もう悲しいですね。
ただ、デザイナーの仕事っていうのは本来「誰でもいい」仕事じゃないはず。「あなただから」と頼んでもらった仕事は本当に嬉しく感じます。そういった仕事をつづけていくと、色んな繋がりができていって、デザイナーとしての未来ができていく。夢のある仕事ですね。

ーーこれからの周南市には、どんな思いを持っていますか?

もっと周南の食と観光が有名になってほしいですね。これまで徳山のフグを有名にしたくて、「徳山」という名前でいくつも絵を描いてきました。今ではその絵が有名になって、下関からもフグの絵を描いてくれと依頼がきますが、変わらず徳山だけを描いています。
山口県のなかで周南だけがデザイン協会がなかった時代もありましたが、今では周南支部が山口県で一番大きなデザイン協会になっています。これからクリエイターと地元企業とのつながりがつくられていく上でも、まずクリエイター・デザイナー同士がお互いのことを知らないことも多いので、もっとお互いに知っていければ、自然と良くなっていくと思います。デザインの力でもっと周南が盛り上がっていくのを期待しています。

PROFILE
来島 康博(キジマ ヤスヒロ)
キジマデザインルーム 代表。
山口県で初めてのグッドデザイン賞を受賞。様々な分野のデザインを手がける。インテリアデザインでは、住宅、リフォーム、店舗の設計施工。グラフィックデザインは、印刷ポスターマーク、DJ(C1)看板他のデザイン施工。製造業は境界杭(意匠登録)した石、アルミプレートなど境界マーク。周南市の名産であるフグやイカなどの海産物の絵も高い評価を得ている。

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