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2018.1.30 UP
周南市のクリエイターへのインタビュー連載11回目は、Honey Design(ハニーデザイン)代表の西村朝美さん。名刺やグラフィックデザインに始まり、色々なクリエイターの方たちとプロジェクトを協業して、特徴的な店舗に関するデザインをブランド作りから行われたりといったお仕事もされています。
他のクリエイターの方とチームで働く際に感じることや、どのように主婦業とお仕事を両立されたかなどについてもお聞きしました。
ーー現在はどんなお仕事を中心にされていますか?
基本的には印刷物の制作がメインになります。案件によっては、カメラマンやイラストレーター、ウェブデザイナーとチームを組んでウェブデザインもするので、幅広い分野でデザインのお仕事をしています。一番得意なのは、紙質にこだわった五感にうったえかけるような名刺のデザインです。名刺のデザイン制作では、お打ち合わせの時に個人事業主様や企業様の想いをお聞きし、事業のイメージも考慮して和紙やラメの入った紙等、記憶に残る特殊な紙を採用しています。もちろん、一般的な用紙を採用することもありますが、業種によっては箔押しや切り抜き加工を施すこともあります。名刺を受け取った方が業務内容を理解できることはもちろん、「名刺を受け取った時に会話のきっかけになるような名刺」で、尚且つ「営業の代わりをするような、一人歩きしてくれる名刺」になるように意識してデザインしています。
ーーデザイナーの道を目指されたきっかけはなんでしたか?
物心がついた頃から絵を描くことが好きで、中学生の時は3年間美術部に所属していました。部活ではデッサンや油絵を描きましたが、一番多く制作したものはポスターです。市や県、各団体が主催しているコンテストにポスターをデザインして応募し、その時に多数の賞をいただきました。自分がデザインしたものに評価をいただけたことがとても嬉しく、その経験がデザイナーの道を目指したきっかけになっています。
中学卒業後に進学した高校では、3年生の時に実際に企業のウェブサイトデザインを行うという特徴的な授業がありました。私は、当時徳山駅前にあった「リトルマーメイド」というパン屋さんのウェブサイトのデザイン制作を担当しましたが、同級生4人でチームを組んで写真撮影や取材を行う中で、実際に食べたパンの感想を共有したりしてお店のサイトを作っていきました。そこでは「実際の仕事には〆切がある」という実感や、仕事を進めていく上では「チームワークが本当に大切」ということを学びました。
その後も「もっと好きなことを学びたい」と思い、山口キャリアデザイン専門学校(現 YICキャリアデザイン専門学校)のデザイン科に進学し、手描きの基礎からmacを使用したデザインを学びました。在学中に、県内外でご活躍の現役のグラフィックデザイナーの方から直々にデザインを学ぶことができ、また、一生の友人ができたことは私の宝です。専門学校卒業後は、自社のウェブサービスを運営している会社にデザイナーとして入社し、ウェブページの制作等のお仕事に携わりました。
ーー独立のきっかけと、その後の働き方はどのように変わりましたか?
入社した会社の業績が、急上昇のちに急下降したのがきっかけでした。その頃にはもう結婚をしていたのですが、子どもが生まれた時のことも考え、独立を決意しました。再就職ではなく独立を選んだのは、子育てを両立するためでした。
独立する際には母校の恩師である石丸先生に、デザイナーとして独立することについて改めて色々と教わる機会に恵まれました。
独立した頃は、友人から結婚式のペーパーアイテムのデザイン制作のお仕事をいただいたり、知人からのご紹介で飲食店のリーフレットのデザイン等を手がけていました。有り難いことに、最近では色々な分野のクリエイターの方とお仕事をさせていただいています。徳山駅周辺の企業様では、「銀座薬局」様のロゴや印刷物全般のデザインを担当させていただきました。銀座薬局様は予防医療をコンセプトとした薬局ですが、処方箋がなくても気軽に相談にお立ち寄りいただきたいという想いを持たれていて、その想いがデザインで伝わるように話し合いながら制作を進めました。
色々なクリエイターの方とチームを組んでお仕事をさせていただくと、私だけでは出てこない他のプロの方々の優れた視点をいただくことができます。より良いデザインが生まれることだけではなく、自分だけでは知り得なかった知識や技術、仕事の進め方、新しい営業のやり方などを知ることができるので、非常に勉強になっています。
ーー子育てをする主婦の目線で、周南市で働く環境はどうでしたか?
周南市は子育てするにあたりとても良い環境が整っており、不満に感じることは一つもありません。市内に子育て支援センターや産婦人科が多く、またヨガやサークルなどで同じ主婦の友達ができたりして、サポートが充実していると感じます。
また、独立されたデザイナーで主婦としても大先輩の石丸先生に色々と相談にのっていただいたことも大きな支えとなり、母のような安心感がありました。家事も育児も仕事もある中、「できる範囲で。ムリしすぎないで」という言葉が今の私の支えになっています。
ーーこれから市内クリエイターのネットワーク化について期待されていることはありますか?
デザイナーのなかでも代理店を通してお仕事をされる方、お客様から直接ご依頼を頂いてお仕事をされる方等お仕事の仕方は様々です。表に出ないデザイナーの方も少なくないと感じています。今までお会いしたいなと思っていてもお会いする機会がなかったり、お見かけしてもなかなかご挨拶ができなかったクリエイターの方に対して、改めてお知り合いになれる機会が研究会などであるのは、とても嬉しいことです。
また、新しいネットワークができていく上では「大人の事情」が優先されることも多々有ります。組織になっていくとなかなか垣根を超えられなかったり、元々の目的よりも大人の事情が優先されたり、ということが起こりやすくなっていくと思うので、そのような時は一度「原点」に戻り、その組織ができるきっかけとなった「想い」の部分を思い出していただけたら、と思います。
これからの周南市は、現在に至るまでの歴史を大切にしつつも新しい価値観を取り入れ、新たな歴史を重ねていけたらいいなと思います。桜並木通りをはじめ、徳山駅の周辺には街灯やレンガ造りの歩道等、部分的にデザインがおしゃれなところは多いのですが、地区内でもデザインがバラバラで統一感がないのが少し残念だなと思います。市内に住む方々に「心地いいな。住みやすいな。」と感じていただけたり、市外、県外からお越しいただいた方に「魅力的な街だな。また来たいな」と思っていただけるような景観に徐々に変化していくと嬉しいです。
街の景観を変えるということは経済面の事情が必ず関係すると思いますが、子供達が生きる環境に当たり前にデザインがあることで、小さい頃からデザインに触れることができる。これはとても価値のあることだと思います。普段目にするものが統一感のあるデザインになっていくことで、次世代の子供達がデザインに興味を持ってくれたり、デザインの価値を感じてくれるようになってくれるといいなと思います。
PLOFILE
西村 朝美(にしむら あさみ)
Honey Design(ハニーデザイン)代表/名刺デザイナー
山口キャリアデザイン専門学校(現 YICキャリアデザイン専門学校)デザイン科 卒業
一般社団法人山口県デザイン協会 会員
徳山商工会議所 会員
紙質にこだわった五感にうったえかける名刺のデザインを中心に、個人事業主様や企業様のロゴやチラシ、パンフレット等のグラフィックデザイン、ウェブデザインの仕事を手がけている。
すっきりとしたシンプルなデザインを得意とし、カメラマンやイラストレーター、ウェブデザイナーとともにチームを組み、お客様の価値観に寄り添ったデザインをご提案している。